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「若冲」 澤田瞳子 [本]

 

若冲

若冲

  • 作者: 澤田 瞳子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: 単行本

 
 
 
 
 直木賞候補にも挙がった小説です。
候補に挙がる前に友人から教えてもらって即、図書館に予約していたので比較的早く順番がきました。

時代物はあまり読まないので読むのに時間がかかりそうだけれど予約多数で貸出期間の延長ができないので2週間で読み終えなければ、と少し焦りました。

読み始めこそ慣れなくて時間がかかりましたが後半からは一気に読み終えました。


自死を選んだ妻を救えなかったことに対して自分を責めての絵画へのめり込みという考えのもと、話は進んでいきます。


ネットで読んだインタビュー記事によるとあの絵の中に若冲自身の「翳り」を感じられたのだそうです。
鶏の絵は好きではないのであまりきちんと観てこなかったのですがこの本の表紙になっている「紫陽花双鶏図」は確かにそこまで書き込む狂気ともいえる雰囲気があるような気もします。

自由奔放なイメージの方が優先していたので確かにギャップはありますね。

おそらく多数の資料をひもときながらあえてフィクションとして亡き妻の存在を創られたのでしょう。
でもそこまで自分を追いつめるまでのものとは思えなくて読んでいる途中ずっとなんだかしっくりこないのでした。
小説だからそういう見方もあるのだとわりきればいいのになぜだかそれができなかったのです。
それくらいこの小説はよみごたえがありました。

最終章で若冲に怨念を抱き続けた義弟、弁蔵(市川君圭)が登場して気持ちを吐露する場面があります。

若冲自身、贋作を描き続ける弁蔵がいたからこそ、絵にのめりこんだと言わしめてます。
こういうライバルがいたからこそあんなにまで緻密に描いていたのかしら?と思ったらなんとなく納得がいきました。

亡き妻への思いというよりも怨念を抱く弟の存在こそがこの話の芯なのかな?と自分なりに解釈したらスッと気持ちが落ち着きました。

それにしていも市川君圭って実際は何者?って思います。



碁盤の目にして絵を描いたことも幼子に色を塗りつぶせるようにと考案したものという新しい見解を示す場面もあって若冲をあまり知らない私でも「ほぉ~」と唸ってしまいました。
 
それにしても益々若冲人気が高まっていきますね。
今までなら「若冲」 なんて変換するのにすごく苦労したのに一発変換できますもんね。
 
若冲の生年が1716年です。生誕300年は今年になるのか、来年になるのか?
いろんな展覧会が開催されるのでしょうか?
また違った目で観ることができそうです。
でも鶏の絵は苦手だなあ・・・。
 
 
 
この本も図書館で借りてきました。
 

若冲百図: 生誕三百年記念 (別冊太陽 日本のこころ 227)

若冲百図: 生誕三百年記念 (別冊太陽 日本のこころ 227)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2015/02/26
  • メディア: ムック

 
よくよく考えると若冲だけの展覧会って行ってないかもしれないです。
 
プライスコレクションは行きましたが若冲以外も多かったですよね。
 
今度あれば行ってみなくては、と思いました。
 
 

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