「羊と鋼の森」 宮下奈都 [本]
宮下さんの小説は「よろこびの歌」「終わらない歌」でとても感動しました。
でも次に読みたい作品がみつからないままだったのですが新刊が出て題名に魅かれたのとレビューも良かったので読むことにしました。
ところが読み始めると主人公が生真面目で朴訥な感じがいまひとつなじめず少しそのままになっていたのです。
そんなところへ芥川賞、直木賞候補作品の発表がありました。
最近あんまり本も読んでいないし情報も仕入れていないので知らない作家の作品が並んでいるんだろうと思っていたのです。
そうしたらなんとこの作品が第154回直木賞候補に挙がっているではありませんか!
もう1冊、柚月裕子さんの作品も直木賞候補に挙がってました。
警察ものなのでまたの機会に読もうと思っているのでこれは先送りです。
それで大急ぎで「羊と鋼の森」をまた読み始めました。
この書名の意味は読み始めてすぐにわかります。
ピアノの調律師のお話です。
調律ってただ音を正確に調整するだけかと思っていたのですがどういう音にしたいか調律師の腕にかかっているんだと初めて知りました。
そしてホールなどのピアノはキャスターの向きだけでも音が変わるんだそうです。
調律するためにある家庭に訪れるわけですがそこにドラマがありました。
小説ならではではなくてほんとにありそうなお話だったので余計に面白かったです。
この続きもありそうなそんな感じで期待したいです。
そして宮下さんの小説ではまたもや私の琴線をくすぐられました。
この小説の中で痛く同感した文章を載せます。
登場人物の柳いわく「才能っていうのはものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。・・・」
そして最後に「羊」という文字から「善い」や「美しい」が来ていると書かれていて「へぇ~そうなんだ。」
「古代の中国では、羊が物事の基準だった・・・」
「神への生贄だった・・・」
そういうことから由来しているみたいです。
今年ももうすぐ終わりですが今年は未年、それもふまえてこの作品を描かれたのでしょうか?
なんだか未年が終わるにあたってこの本に巡り会えたのも何かのご縁を感じたのです。