「ピカソになりきった男」 [本]
- 作者: ギィ・リブ
- 出版社/メーカー: キノブックス
- 発売日: 2016/08/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
自伝です。直訳的でちょっと読み辛かったのと図書館で借りて急いで返さないといけなかったので斜め読みです。
前書きにあるのですが彼はコピーを作るのはなくて巨匠が描いたかもしれないという新作を描いてました。
そして最初の頃は本物であるという証明をさせて証明書は本物なので当然その絵は本物となるのです。
そのためには
・画家を調べ尽くす
・その時代の画材を入手する
・画家になりきる
こういう風にして贋作を描く高揚感、画家と一体感となることがやみつきになったみたいです。
しかし後半期に一緒に仕事をした仲間は保証書さえも偽物を作る、それはペテンそのものと彼自身も言ってます。
2005年に逮捕、2010年に禁固刑4年、執行猶予3年、保護観察1年 の刑を受けながらも2012年には映画「ルノワール、陽だまりの裸婦」のスタッフとして、絵の制作とルノワール役の手の役で協力しているのにはちょっと驚きました。
そして今は
「偉大なアーティスト風の絵なのだがサインするのは俺で他人の作品とは言わずに売られている。」 そうです。
「だから俺は投機目的ではなく家に絵を飾る楽しみのために買う愛好家のために、完全に合法的に描いている。
彼らが買っているのは贋作とも言えるが法的にはそうでない作品である。巨匠の絵を買えない人たちにとっては魅力的、彼らは俺をごく普通に美術館以外で絵的な感動を味あわせてくれる、ひとりのアーティストとしてみてくれている。」 のだそうです。
確かに私なんかはそれが贋作が本物かよりもその「絵」自体が気に入っているのであって本物でなくてもいいように思います。
実際、美術館のショップなどでは限定とはいえシルクスクリーンの絵を販売してます。
それでも結構いい値段してますよね。
画家の財団とかが認定しているからでしょう。
現在も美術館に彼が描いた絵が展示されていると彼は言ってるそうです。
証明書が本物である限りそれはありえますよね。
前回紹介した映画「迷宮のレンブラント」の結末も映画を見終わったときは「映画ならではの結末」と思いましたが案外真理かもしれないな、と思い直しました。
特に贋作についてとても興味があったわけではないのですがたまたま映画をみたり、本を読んだりして面白かったので載せてみました。