「天のしずく 辰巳芳子 いのちのスープ」 [映画]
辰巳さんにスポットを当てたドキュメンタリー映画です。
料理研究家として著作などたくさんあり、お名前は知ってましたがどんな方なのかよく知りませんでした。
1924年生まれ 今年90歳になられるのですね。
食材やお料理に対して頑ななほどのこだわりをもたれているのがわかりました。
易きに流れる現代への警鐘でもありますね。そして私自身も耳が痛いです。
でも時間に追われている生活でなかなか手をかけることの難しさを思います。
女性の社会進出だけでなく経済面からの共働きが多い昨今では時間との闘いです。
そのあたりはそれぞれの考え方に委ねられると思います。
そして
印象に残ったシーン。
辰巳さんの結婚が決まっていたのですが相手の方の招集が間近に迫り辰巳さんのお父さんがこの結婚の解消を求めて彼のお家へ行かれたそうです。
そうしたら「彼は涙を流していた。」ということをお母さんから聞かれて、命の保障がない人を泣かせたままで戦争に行かせるわけにはいかないとお父さんに抗って結婚をされたそうです。
結婚生活はたった3週間。
セブ島で戦死されたそうです。
辰巳さんは父に反抗してまで結婚をした自分の判断に疑問をずっと持たれていたそうです。
あの年齢の方が父親に背くというのは並大抵のことではないからでしょうか。
50年ほど折に触れてふっとその疑問が頭をよぎっていたそうです。
そして50年ほど経って彼が自分が死んだ場所を見てほしいといっている声が聞こえたような気がしてセブ島へ行かれたそうです。
果たしてその海で「自分は何を思うのだろうか?」と答えが出ないまま海に舟を出してもらったそうです。
そうしたら「ずっとあなたを守ってきました。」という声が聞こえた気がしたそうです。
それに対して「私はずっと幸せに過ごしてきましたよ。」と答えられたそうです。
「これで良かったのだと思った。」というようなことをおっしゃってました。
夕焼けの美しさもおっしゃってました。
忘れることのできない風景になったことでしょう。
50年経ってようやく戦争の後遺症が癒されたような感じで戦争の傷跡、なかなか消えることはないのだと改めて思いました。
それから
「80年生きてきて見えてくることがある。80年生きてきたからこそみえてくるものがある。」っとおっしゃてましたがそうなんでしょうね。
命の尊さ、そんなことを考えさせられた映画でした。